2021/07/31
副住職の「歳時記」vol.05 2021年(令和3年)7月 盂蘭盆会
伊藤 悦央
聖号十称
人間に生まれたことともう一つ私たちが起こしている奇跡は、仏教の教えとの出会いです。
お釈迦様の時代の逸話があります。舎衛国(しゃえこく)という古代インドの都市は、お釈迦様が僧院の祇園(ぎおん)精舎(しょうじゃ)を拠点にし、長年に渡り布教を続けた場所でした。それでも国の三分の一にあたる三億人(昔のインドの単位で、現在の三十万人)の人々が、お釈迦様を見たことも聞いたこともなかった、という話です。これは教えと出会うことがいかに難しいかを表すとともに、お釈迦様の時代さへご縁の薄い人々がいたのは驚きませんか。まして遠い時代を生きる私たちが、仏の教えにめぐり会えたのは、かけがえのない縁です。法然上人はこの機会を「いたずらにあかし暮らして、やみなんこそ悲しけれ」(出会ったにもかかわらず、日々むなしく暮らすほど悲しいものはない)と仰っています。
何をすればいいのか。難しいことはありません。お念仏はもちろんですが、お盆を迎えるにあたりご先祖様に感謝する気持ちは、立派な信仰です。どうぞお墓にお参りください。
至心合掌