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2025/02/11

日常の仏教語【開発】(かいはつ)


近年、人工知能(AI)の開発がこれまでにないほどの勢いで発展を遂げ、話題になっています。今後もAIを活用した多くの製品が「開発」されるに伴い、ますます世の中が便利な方向に向かっていくことでしょう。

この「開発」という言葉は、仏教に由来するとされています。仏教語としては「かいほつ」と読み、「内心に潜んだ仏の心を開き発す」といった意味で用いられます。仏教には、誰もが仏となる可能性を秘めてはいるものの、それが煩悩などの欲望に覆われてしまっているという考えがあり、「開発」はその煩悩を取り除くことをいうのです。

このように、開発は自分の内心に対して用いる言葉でしたが、時代とともに、天然資源を活用することや、森林や荒れ地、科学技術などを人間の生活に役立つようにするなど、自分の外のことに対して用いられるるようになりました。

人間はさまざまな場所を切り開き、新たな技法を生み出して発展してきました。その速度は時代とともに加速しており、私たちの身の回りのものは進化し続けています。

技術が確信されていくことは素晴らしいことですが、自分の外側に対する開発をするだけでは、いつまでも心の満ち足りなさを解消することはできないのではないでしょうか。私たち一人一人が自らの「心の開発者」であると受け止め、欲望に振り回されないよう、自身の心をより善い方向に開き発すようにしたいですね。  【浄土宗新聞12月号より】